歌舞伎町の街の楽しみ・魅力をホテルから発信
「新宿プリンスホテル」<後編>

2021.03.29

東京を代表する街、新宿。その駅前に立ち世界中から訪れる観光客を迎える「新宿プリンスホテル」は、宿泊客をはじめ街を訪れる人に「もっと歌舞伎町の街を楽しんでほしい」と趣向を凝らしたプランやイベントを企画し提供している。「新宿プリンスホテル」事業戦略チーフマネジャーの小野慶さんにお話を伺った。(前編はこちらから)

実際に新宿の街のさまざまな場所を巡る「新宿街歩き『ドラマチックツアー』」も開催されました。

「歌舞伎町ブックセンター」とのコラボ企画を手塚さんと一緒に形にできたことは一つの自信になりました。改めて歌舞伎町の代名詞的な場所をどのようにしたらうまくホテルとマッチングできるか考え、さまざまな街の姿をアピールし、新宿の街をより深く掘り下げ体感してもらえたらと始めたのが、宿泊客を対象にガイドが引率するツアーでした。歌舞伎町の振興組合はもちろん、新宿区内のほかの組合の方々にもご相談に伺って実現した企画です。

エリアによって違う新宿の街の雰囲気や夜の一面を楽しめるよう、通訳案内士が英語で案内する外国人向けの街歩きは、歌舞伎町一番街ゲート、ホストクラブ、花園神社やゴールデン街などを見て回る夜のコースと、花園神社や新宿御苑、思い出横丁などの名所を巡る昼のコースの二つ。新宿2丁目・3丁目、キャバクラやホストクラブ、新大久保エリアなどを回る日本人向けのコースも用意し、歌舞伎町らしいオリジナルなツアーになるよう意識しました。

ドラマチックツアーのひとコマ

歌舞伎町シネシティ広場で20198月に初めて行われた「歌舞伎町BON ODORI」も、ホテルから街に働きかけたイベントだと伺いましたが。

それまでの企画はどちらかというとホテル目線のベース作りといいますか、街の良いところを取り入れて商品化したにとどまっているように思っていました。原点に立ち返ってみると、この街に来てから特に感じているのですが、ホテルというのは本当に街に生かしてもらっていると改めて思ったのです。我々のホテルにこれだけお客さまがいらっしゃるのは街に魅力があるからですし、街が発展して魅力が増せば増すほどホテルにはお客さまがいらっしゃいます。だからこそ我々ホテル側からも街の楽しさを伝えていく必要があります。ホテルに滞在している人も、ぶらりと街に遊びに来た人も国籍年齢を問わず参加できるようなイベントができないかと思うようになりました。

その中で企画したのが盆踊り大会でした。盆踊りは、外国人にとっては日本の伝統カルチャーを体験できる場となり、日本人にとっては老若男女、誰もがテンションの上がるイベントです。また開催した8月は我々ホテル業界にとってはレジャーの需要が高まる時期ですが、新宿では7月に「エイサー祭り」、9月に「熊野神社例大祭」、10月には「歌舞伎町まつり」などの催しが行われるのですが、8月には特に大型のイベントがありませんでした。8月にイベントを行うことで、いつ街に行っても連続的に何か楽しみがある。また海外からだけでなく地方からもたくさん人が来られるので、そのようなお客さまもこの盆踊りを通じて「歌舞伎町は楽しかった」という思いをそれぞれに帰った地元で伝えてくださるといいな、という思いがありました。

盆踊りイベントのメインビジュアル

企画イメージを歌舞伎町商店街振興組合に持ち込んだところ、皆さんもとても前向きに受け入れてくださいました。組合内の定例の場で地元の方や企業の方と一緒に企画を練り、ポスターデザインなどプロモーションの検討、ちょうちんやうちわなど必要備品の製作、フードトラックの手配などを進め、皆で趣向を凝らして作り上げるイベントになったと思います。

盆踊りは18時半にスタートし、前半は新宿区民謡連盟の方80人が中心になって、「東京音頭」「相馬盆唄」などの盆踊り曲から、「ダンシング・ヒーロー」などのヒットソングまでさまざまな楽曲でオーセンティックな盆踊りを踊りました。浴衣姿で来場客の手本となったり踊りながらレクチャーしたりするなど、非常に賑わいました。

イベント後半は同組合専務理事を務め、DJの経歴も持つ柴本新悟さんがDJとしてターンテーブルをまわし、前半とはまた違った雰囲気で会場を大いに盛り上げてくださいました。歌舞伎町らしいミックスカルチャーでネオ屋台と呼ばれるようなキッチンカーも並び、盆踊りが初めての人でも気軽に来られるような雰囲気を演出しました。

イベント「歌舞伎町BON ODORI」の様子

街のさまざまな方と共に盛り上げまちづくりを考えることが、ホテルにとっても重要なのですね。

街の盛り上がりはその街の発展につながり魅力を上げます。その街で事業をやるものは、街で商売をやらせてもらっているという認識が必要で、自分だけ潤えばいいという話ではないと思っています。新型コロナウイルス感染拡大前までは、インバウンド需要が増え観光産業に追い風が吹いていました。当然ながら、ホテルの中で、街の中で、どう消費行動を起こさせるのか検討をしていました。もちろん盆踊りも、恒例のイベントとして根付かせ発展させていけたらと今年も開催の予定で進めていましたが、残念ながら中止になってしまいました。コロナ対策でホテル自体も一定期間クローズし、人の動きが制限されるなど厳しい部分もあり、それを踏まえた上での取り組みは頭を悩ませている部分もありますが、新型コロナウイルスが終息し、また安心して行き来ができる日が来ると思っています。その時に向けて、さまざまな企画・イベント・サービス・商品を検討し、再びこの街に活気が戻り、たくさんの笑顔が見られるように考えて準備していきます。

イベント「歌舞伎町BON ODORI」の様子

私としては、ここまでやってきたことがゴールでもないですし、山の頂点まで登ったかというとまだまだ登り始めた段階だと思っています。これまでの考えを継続させていきながら、街の魅力をホテルとしてどのように今後発信していけるのか、お客さまにどのように楽しく遊んでいただけるのか、これからも突き詰めていきたいですし、バージョンアップしていきたいと思っています。

 関連リンク 

「新宿プリンスホテル」
東京都新宿区歌舞伎町1-30-1
TEL 03-3205-1111(代表)
https://www.princehotels.co.jp/shinjuku/

Editorial department / 本文中の本アイコンは、
歌舞伎町文化新聞編集部の略称アイコンです。

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