これまで日本でも、幾度となくブームになるなど人気のフラメンコ。
その音楽や歌、そして踊りに魅せられた人々の間では、知らない人はいないというまさにフラメンコの聖地が、新宿駅に程近い「伊勢丹会館」6階にある。
「TABLAO FLAMENCO GARLOCHÍ(タブラオ フラメンコ ガルロチ)」は2016年、この場所に約50年の歴史を紡いだ「エル・フラメンコ」を受け継いで生まれた、本場のフラメンコアーティストたちによるショーと料理が楽しめる空間である。
日本のみならず、世界的にも類を見ないという同店を手掛ける株式会社バモスの村松尚之社長にお話を伺った。
長いこと多くのフラメンコファンに愛されてきた「エル・フラメンコ」を引き継がれたのはどういうきっかけだったのですか?
ここは毎日スペイン人のフラメンコのショーが見られる唯一の空間なんですが、それと同時に土曜、日曜はフラメンコの愛好者の発表の場でもあります。
我々は、もともとフランメコの衣装を手掛けていて、現在も赤坂に「ソニア・ジョーンズ」という店を経営しております。本国ではお祭りの際に着られるものですが、私たちの衣装は発表の場に伴って需要があるものですから、前オーナーから継承のお声がけいただいた時は、なんとか「発表の場」を存続させたい、そんな思いがありました。
ショーの運営はスペインに馴染みがないとなかなか難しいところですが、うちはスペインとは20年近く一緒に仕事をしてきて、現地にも社員のようなスタッフもおりましたので、飲食業の経験はなかったのですが、この場を新たに再生していけるのではと決心しました。
伝統を引き継ぎつつ、新生「ガルロチ」としてどのようなことに取り組まれたのでしょうか?
出演されるアーティストは世界中で活動される一流の方ばかりですね。
フラメンコファンのお客さまが多いでしょうか?
「エル・フラメンコ」時代は、あまり料理はしっかり出していなくて、とにかくショーを見せる場でありました。当店は、料理もショーもゆっくり楽しんでもらえたらと、一部、二部完全入れ替え制だったところを通しに変更しています。
長くいても心地よい空間を作れるかなと考えたのと、踊りを生で見ながら食事ができるというのは、私には非常に贅沢なことだと感じたんですね。
昔から通ってくださっている60代から80代の方、そして一流企業の社長さんはじめ、接待のご利用も多いですね。ショーのコンテンツが良いので、フラメンコを見るためだけに成田から直行するような方もいらっしゃるほどです。
スペイン本国より熱中しているのではとも取れる、日本人が惹かれるフラメンコの魅力はどんなところだと思われますか?
一般の人も涙します。この場所でフラメンコに開眼し、一生フラメンコに捧げている人たちもいます。人生を変えてくれるような場所になっているかもしれません。
オープンして2年、今後の抱負をお聞かせください。
東京には、「オオバコ」と言われるような150人、200人入れる場所が減ってきているそうなんですね。だからこういう場所を残していかないと、という思いもあります。
私自身、スペインに行って何度もこうしたタブラオを見ていますが、どこも非常に流行っているとは言え、ほとんどが一見さん、観光客ばかりです。当店は、毎年アンダルシアに通っているという人や、1年住んでいたといったような、多い時には半分くらいが熱心なフラメンコファンの方々で、それはもうものすごく目が肥えているんですね。そういう人たちの前で踊るというのは、ある種名誉でもあり、ある種戦いの場でもある。だから自ずといいショーが出来上がると思うのです。
店名の「ガルロチ」は、ジプシー語で「心」を意味するという。
サービスであれ、料理であれ、ショーであれ「心に届けられたら」という村松社長の思い。この先、新たな伝統を刻んでゆくこの空間にぜひ一度足を運んでみては。
写真:近藤佳奈 (村松さんのポートレートを除く)
TABLAO FLAMENCO GARLOCHÍ
東京都新宿区新宿3-15-17 伊勢丹会館6F
TEL 03-5361-6125
関連リンク
「TABLAO FLAMENCO GARLOCHÍ」 http://garlochi.net