2021年11月20日、歌舞伎町シネシティ広場で初めてとなる「歌舞伎超祭」が開催された。日が暮れた広場の中、ひときわ明るく照らされた特設ステージにはダンサー、ドラァグクイーン、ポールダンサー、DJらが次々と登場し、その圧巻のパフォーマンスに会場全体が熱を帯びた。
まずはそのイベントの様子をまとめた動画をぜひご覧いただきたい。
歌舞伎町商店街振興組合が主催し、イベントのプロデューサーにOi-chanを迎えた。Oi-chanはキャスティングディレクターとして宇多田ヒカルさん、椎名林檎さんらのMV、GoogleやユニクロなどのCMを手掛けるほか、TOKYO2020オリンピック閉会式、パラリンピック開会式/閉会式にも関わるなど多岐に渡って活動されてきた方だ。
イベントはDJ MONDOによるDJパフォーマンスで会場が期待に包まれる中、16時30分、表現者のアオイヤマダのパフォーマンスで幕を開けた。演目の「ROOT」は30年以上第一線で、演劇やダンス、映画、テレビなどの分野で活躍してきたコスチュームアーティスト・ひびのこづえが2021年に発表した新作パフォーマンス。カエルに扮したアオイヤマダが、踊りながら次々と違う生き物に変異していく。
イベント終了後、「正直、怖いというのがこれまでの歌舞伎町のイメージだった」と話し始めたひびのは、「パフォーマンスを手がけることが決まり、改めて足を運んでみて、場の空間の圧倒的存在は作品にも大きく影響した」と続けた。「歌舞伎町の中にある空間で『ROOT』を観るということがとても新鮮に感じた。今回、人の力で場所がどんどん変化していけるというのを実感した。歌舞伎町は猥雑な魅力を持ちつつどんどんと変化をし続けていますね」と話した。
ショーは、DJ MONDO、アオイヤマダと高村月とのユニット「アオイツキ」、KUMI、橋本ロマンス×PUMP management Tokyo(TOYA、HIBARI、HOSHI)」、CHISE NINJAと高村月、山田ホアニータ、愛シャクレ熱(ラブマリアとキリーシャクレイ)、小源寺亮太、ちびもえこ、色即是空(Rion+陸+Chikako)、スナッチ、SIS、ブイヤベース、Kazane+KENGO、ヒロスミ&ヨシユキ+Cerestia Grown、MASHUFO(清水舞手とUFO)と続き、最後にドラァグクイーンのリル・グランビッチさんが登場。出演したパフォーマーは総勢30名にのぼり、拍手喝采と共に幕を閉じた。
キャスティングを担ったOi-chanはイベント終了後の取材で、
「90年代に歌舞伎町の東宝会館にあった『Club complex CODE』で毎年イベントをやっていた頃も、ドラァグクイーンやストリートダンサーなどジャンルの異なるパフォーマーを次々に出していくやり方だったので、今回も昔からやっていることを再びこの場所でやらせていただいた事に深い縁と意味を感じています。歌舞伎町のど真ん中の野外ステージという開かれた場所で、通りがかりの人が初めてポールダンスを見たり、パフォーマンスを見たことがない人が生で目撃する事で、何かを感じて何かが変わってくれたらいいなと思います。
アンダーグラウンドに眠る才能を多くの人に見てもらって何かを感じてもらう事を目的にずっとこの仕事をしています。」と話した。
公共の空間である広場という野外で繰り広げられた、ほかではなかなか見ることのできない、まさに歌舞伎町ならではの「歌舞伎超祭」。それは一体どのようにして企画されたのだろうか。後編では、主催した歌舞伎町商店街振興組合常務理事の手塚マキさんに、開催までの経緯と思いを伺ってみたいと思う。