「パセラリゾーツ新宿靖国通り店」が赤ちゃん連れママに愛される理由
総店長 赤崎由昌さんインタビュー

2018.06.14

歌舞伎町に、連日ベビーカー連れのママたちが集う店があると聞いて向かった先は、カラオケ施設「パセラリゾーツ新宿靖国通り店」。一見するとよくあるカラオケ店のようだが、入口を入るとリゾートのような内装空間が広がり、その先には子どもたちが喜びそうなコスチュームやおもちゃ、塗り絵が並ぶ。昼過ぎの受付は噂通り、ベビーカーを押したママたちで賑わい、すぐ横に設けられたドリンクの無料コーナーでは、哺乳瓶にお湯を入れてミルクを作っている姿も見られた。

カラオケ曲数世界一を誇るという同施設を手がけるのは、創業1986年の株式会社ニュートン(本社:新宿区)。都内や横浜に19店の同カラオケ施設を展開するほか、レストラン、カフェ、ホテル、ウェディングや各種パーティー、フォトスタジオ、ペットホテル、コワーキングスペース、保育所など多様な事業を展開している。

2009年7月にオープンした同店は、28階(4階を除く)に41のカラオケルームを備え、地下1階にダーツができるバー仕様のスペースを設ける。「当初は、それほど子連れママの利用が多かったわけではない」と聞いて、当時この店の立ち上げ責任者を務め、2017年より再び総店長として店を取り仕切る赤崎さんに話を伺った。

営業を続ける中で気づいた「ママたちのニーズ」

同グループの空間開発はアジアンリゾートをコンセプトに、賑やかな都会の中でも癒しを感じてもらえるような空間作りを目指しています。この店舗は、区役所通りにある『パセラリゾーツ新宿本店』に続く、新宿エリアの2店舗目として立ち上げました。レストランやコラボカフェ、ダーツ、数カ所の貸し切りスペースを有する大型の本店に比べ、こちらの店舗はカラオケに特化した中型店舗です。

当店は西武新宿駅から靖国通りをまっすぐベビーカーを押して歩いて来ることができる。立ち上げ時は全く意図していなかったのですが、西武新宿線沿いに住んでいるママさんたちには、そんな立地が都合良かったようで、いつしかこの店に集合するという光景が見られるようになりました。

当店の入り口には段差がないためベビーカーでも入りやすかった。また、オープン当時は一階の一番奥に靴を脱いで楽しめる禁煙の部屋を配置しており、そこを目当てにリピートされるママさんがいらっしゃいました。

カラオケ施設はそもそも、防音の個室にソファ席という、考えてみれば子連れのお客さまの需要と融和性が高かったんですね。しかし我々は当時このママさん方を、ターゲットとしては想像できていませんでした。当店が歌舞伎町という繁華街の入り口の立地でありながらも、『歌舞伎町の奥には入らないから利用しやすい』といったママならではの視点などは、営業して行く中でお客さまから教わり、気づいたことだったんですね。

要望には可能な限り対応したい

現在につながる子連れ客のリピートの高さは、単に立地の良さだけではなかったのだろう。館内には、利用客の意見や要望に真摯に向き合った取り組みが随所に伺えた。

現在の姿は、アンケートをしっかり取るなど、ママさんたちの『あったらいいな』という声を伺い、一つ一つ具現化していった積み重ねだと思います。ママ会ルームとしてご利用いただいている、床クッションルームと呼んでいる部屋は、今13部屋くらいありますが、元々は6部屋の配置でした。その後需要を受けて、カーペットでローソファーを置いていた部屋を、床クッションルームへと徐々に変更していきました。

床面がクッションになっている部屋がいい、というのは一番多い意見でした。ママも子供も靴を脱いで、寛いだ時間を楽しめる。そうした『安心と安全』でお店を選んでくださっているのだと理解でき、テーブルの角にコーナークッションをつけようか? おしぼりより除菌用のウェットティッシュがいいのではないか? など、細かくスタッフで検討していきました。結果、ママ方のご来店数も伸び、オープン5年目辺りから、本格的に子連れママという客層に向けての取り組みを当店舗の柱に据えました。今では備え付けのバンボ(赤ちゃん用の椅子)やおもちゃ、子供用エプロンなど多くの関連小物を取り揃えています。

赤ちゃん用のミルクを作るためのお湯や水、手洗い場に用意したオムツ替えシートやオムツ用ゴミ箱など、細やかな店の対応には、二児の父親でもある赤崎総店長の経験も生かされているそうだ。

僕の父親としての経験もほんの少しではありますが、しっかり取り入れるようにしています(笑) 子供用コスプレ衣装やおもちゃは、定期的に交換も必要になってきますが、そういった部分はしっかり投資をしていこうと考えています。当店舗は、新宿で最も子どもとママたちに優しい店になれればと思っています。

カラオケ店のイメージを変える

「パセラリゾーツ」のもう一つの特色は、ママたちにも圧倒的な人気があるという名物料理、食パン一斤を使ったスイーツ「ハニトー」を始め、提供する料理メニューにもある。

当社は、それまであった『汚い、まずい、接客が悪い』というカラオケ業界のイメージを変えようとパセラ店舗を立ち上げました。その3つを変えた先に、『カラオケに行こうよ』ではなく『パセラに行こうよ』と言っていただけるような店作りを目標にしておりました。

料理に関しても、レンジでただ温めて出すようなメニューが当たり前の時代がありましたが、当店は近くに専用のセントラルキッチンを持ち、グループ内のレストランの料理も、カラオケ店の料理も同様に作っています。デザートもエリアごとに専属のパティシエを採用し、手作りしたものを提供するという、料理への注力が大きいのが特色だと思います。

ママ会をパセラの個室でやるというのは、食事をしてから当店へ来る方もいらっしゃいますが、それを一つの個室で完結できるというのがメリットなのだと思います。レストランと同じような本格的なランチやお茶が楽しめ、子どものオムツ替え、遊び場もまかなえる。カラオケ屋さんであり、レストランやカフェであり、プレイルームでもあるんですね。だから、ここに来てみなさんで会話を楽しみ、歌わないお客様もいらっしゃいます(笑) それも幸せな使われ方かな、と思います。

子どもが楽しく過ごせる未来へ

現在、「オリコン日本顧客満足度」(カラオケボックスランキング)において3年連続で1位を受賞している「カラオケパセラ」。赤崎総店長はここ最近の取り組みと店舗の未来についてこう話す。

お陰様で満室の日も多いため、ママさんの多い入店時間に合わせ、週末のみ11時半のオープン時間を10時に繰り上げることにしました。より多くの方に利用していただけるよう、日々進化していけたらと思っています。

最近では、ママさんたちから『キッズルーム』の要望が多かったのですが、これは大きな空間が必要になるので、なかなか作ることができないでおりました。そこで考えた末の企画が、地下1階のスペースにクッションマットを敷き、空気を入れて膨らませる滑り台など大きな遊具を配して作った遊び場『パセランド』です。

貸し切りパーティーが入っている時はご利用いただけないのですが、通常はメインのお部屋のご利用前にちょっとお寄りいただいたり、待ち時間にお子様が遊んだりと、喜んでいただいております。また、この『パセランドで貸し切りパーティーをしたい』というご要望にお応えしようとプランもご用意し、早速ご利用いただいています。

パセラリゾーツ含め、当社は『公益資本主義』をポリシーにしています。それは、商売している人だけが儲かって利用者が困るようなことはしない、みんなで幸せになるよう頑張ろうということです。その中で代表が、社会の中で一番守るべき存在として思いを寄せるのが『子どもたち』なんです。

ここ数年前からは、運営する「パセラ珈琲店南池袋店」を利用した『こども食堂』も始めました。20184月には、企業型保育「安心つぼみ保育園」を開園し、会社として子どもを大切にしていきたいという思いを体現するために取り組む、新たな事業もスタートしました。

当店も、ベビーカーで家族と一緒にお店に来たり、小学校の謝恩会などで利用したりと、小さい頃からパセラを知っている子どもたちが大人になって、自分たちで利用するようになる。将来そのまた子どもたちも店を利用してくれる。そんな風に世代を通して長く使ってもらえるようなお店になれたらいいなと思っています。

パセラリゾーツ 新宿靖国通り店
東京都新宿区歌舞伎町1-16-2

営業時間
月〜金曜日・祝前日 11時30分〜翌朝7時
土曜・日曜・祝日  10時〜翌朝7時

 関連リンク 
「パセラリゾーツ新宿靖国通り店」https://www.pasela.co.jp/shop/shinjuku_yasukuni/

Editorial department / 本文中の本アイコンは、
歌舞伎町文化新聞編集部の略称アイコンです。

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