新宿で懐かしさが感じられる昭和レトロな喫茶店
 創業55年の「珈琲西武」と2号店「COFFEE 西武」

2020.01.23

東京で2回目の開催となるオリンピックを翌年に控えた2019年9月、西新宿に喫茶店「COFFEE 西武」がオープンした。その名前と入り口脇にあるショーケースを目にした人の中には、新宿の東口エリアに佇む「珈琲西武」を思い浮かべた人も多くいるだろう。ここはまさに、東京オリンピックが行われた1964(昭和39)年に創業し、55年の歴史を持つ老舗純喫茶「珈琲西武」の2号店として誕生した、新しくて同時に懐かしさが感じられる場所だ。

新宿エリアで飲食店などを運営する三信商事(新宿区)が手掛ける。専務の方山成朱さんは、「『珈琲西武』の原型というのは歌舞伎町の王城ビルにあります。当時このエリアで有名な喫茶店といえば、『スカラ座』とこの王城ビルにあった『喫茶王城』だったのではないかと思います。喫茶店ブームで喫茶店はたくさんありましたが、その中で王城ビルの設計者の一族が設計し、当社の創業者と一緒に作ったのが『珈琲西武』だったんです」と話す。

「珈琲西武」
「珈琲西武」

昭和40~50年代には駅ビルに出店するなど5店舗展開していたが、流行の変化とともに本店だけになっていた「珈琲西武」。2号店のオープンについて方山さんは「昨今、再び喫茶店が流行し、純喫茶を物珍しいと感じる若い方や外国人の方など数多くの方が来店してくださっていることもあり、2020年東京オリンピックを控えたタイミングで出店しようと考えました」と振り返る。

両店とも特徴となっているのは大きなステンドグラスの照明で、2号店は老舗工房「松本ステインドグラス製作所」に依頼した。成田山新勝寺平和大塔金剛殿や出雲大社神楽殿などのステンドグラスを手掛ける、国内でも数少ない日本屈指の工房だ。「当時はなぜか豪華な喫茶店が多くて、『喫茶王城』も店内に大きなシャンデリアがありましたし、内装にこだわったお店が多かったようです。若い人たちにとって街で映画を見て、喫茶店でコーヒーやコーラを飲むというのがトレンドの一つだったのではないでしょうか。本店のステンドグラスも今となっては貴重な財産になっています。美しい青や赤の色味は伝統の技術ならではだと感じます」と方山さん。

「COFFEE 西武」

メニューには自家製デミソースを使った「新宿特製オムライス」や「西武カレー」、見た目も豪華な特大「パフェ」など昔から変わらない人気の味が並ぶ。方山さんは「カレーライスは創業当時から、パフェもだいぶ古くから現在のような形で提供していると思います。昔から変わらずやっているけれど、巡り巡って新しいと感じていただいたり、おしゃれな店やメニューが増えた中、肩肘張らないメニューというか、分かりやすいメニューが落ち着くという声をいただいたりしています。7時半からオープンしているので朝の早い時間からランチ、飲み会や食事の後のゆったりした時間までゆっくり楽しんでもらえる場所として立ち寄っていただければ」と話す。

方山さんの両親も歌舞伎町生まれ。自身も子どもの頃に父と見た歌舞伎町の繁華街や、まだ木造住宅が多く残っていた西新宿の風景を覚えているという。

「時代とともに街の風景も激変してきました。本店も現在は個室を備えた2フロアという形ですが、新たなカフェが増えるに連れお客さんが少なくなった頃は1フロアにしたりスポーツバーとして経営したり、時代に合わせて少しずつアレンジしながら続けてきました。今当社で手掛けているほかの店では、特に歌舞伎町にある飲食店はお客さんの9割が外国人の方という店もあります。ここ10年、20年で我々みたいな地元の人間が減ってきているのは寂しい部分もありますが、今後新宿は観光拠点としてますます便利に発展していくと思いますし、移り変わりの早い時代だからこそ、変わらない良さ、新宿という大都会の中で落ち着きと懐かしさが感じられるような空間を地場の人間が残し、この先長く伝え続けていけたらと思っています」

「珈琲西武」 東京都新宿区新宿3-34-9 メトロ会館2・3F
「COFFEE 西武」 東京都新宿区西新宿7-9-16西新宿メトロビル2F

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