新宿で社会奉仕の一助を担う、2体のライオン像
新宿エリアを拠点に活動する奉仕団体「東京新宿ライオンズクラブ」

2021.04.03

「歌舞伎町シネシティ広場」とJR新宿駅東口駅前にライオンの像があるのをご存知だろうか。募金箱でもあるこの像は奉仕団体「東京新宿ライオンズクラブ」が、災害時における被災地支援や青少年育成支援など活動の一助となるよう、また社会奉仕に役立つモニュメントとして設置したものである。駅前の金色のライオン像は、口元からお金を入れると「ガォー」とライオンの吠える声と共に「ありがとうございました」の音声が流れ、街行く人の間で、ちょっとした話題のスポットにもなっている。

 「ライオンズクラブ」の歴史は1917年、アメリカ・シカゴでメルビン・ジョーンズが創設したことに始まる。現在は200を超える国と地域に約49,000クラブがあり、約140万人の会員を擁する世界最大の社会奉仕団体である。日本では1952(昭和27)年に「東京ライオンズクラブ」が結成されて以降、全国に2,902クラブ、会員約106,000人(202011月現在)へと広がりを見せた。

「LIONS」の名は強さや勇気などライオンに由来するだけでなく、「Liberty,Intelligence,Our Nation’s Safety」というスローガンの頭文字でもある。「LIONS」の名は強さや勇気などライオンに由来するだけでなく、「Liberty,Intelligence,Our Nation’s Safety」というスローガンの頭文字でもある。

「東京新宿ライオンズクラブ」は1960(昭和35)年5月、東京では11番目のクラブとして結成され、現在全会員数105人を数える。少年少女レスリング選手権大会をはじめ、新宿少年サッカー大会などを主催するほか、毎月の献血活動、小・中学校への薬物乱用防止教室などの青少年育成活動、被災地支援などを行っている。

今年度、第61代会長を務められる田邊浩嗣さんに、ライオン像の募金箱についてお話を伺うと、「歌舞伎町シネシティ広場」に最初にライオン像の募金箱を置いた年代は定かではないが、現在ある2代目は「台北市復興国際獅子会」との姉妹提携3周年を記念し1976(昭和51)年に設置されたものだそうで、実に50年近い歴史があることがわかった。

のちに新宿駅東口駅前に、より大型のライオン像が設置され、現在は通称「子ライオン」として親しまれている「歌舞伎町シネシティ広場」のライオン像型募金箱のちに新宿駅東口駅前に、より大型のライオン像が設置され、現在は通称「子ライオン」として親しまれている「歌舞伎町シネシティ広場」のライオン像型募金箱

新宿駅東口駅前に立つ「ライオン像」は、2000(平成12)年4月、同クラブ結成40周年記念事業として設置されたもので、クラブのシンボル的な存在にもなっている。田邊さんに設立時のエピソードを伺った。

先輩方から聞いたところによると、当クラブが結成して4年目の1964(昭和39)年、「新宿ステーションビル」(現・ルミネエスト)の完成に伴い、自分たちに何かできることはないかと考えたそうです。そうして最初に設置したのが日時計でした。やがて周囲の高層化に伴い、日時計に替わって花壇を設置したのですが、寝泊まりする人がいたりゴミが散らかったりするなどの問題が起こりました。また新宿駅には地中構造物があるため、地上に設置するものの重量を軽量化する必要性もありました。

そうした経緯もあって、クラブ結成40周年の記念事業を検討する際に出たアイディアが、新しいモニュメントの設置だったといいます。「募金箱はどうだろうか」という意見を出発点に、造形としてはゴミなどを置けないよう、また背景に広がる新宿駅や鉄道を視覚的にも遮らないような三角錐になったようです。当時のライオンズクラブといえば、地元の名士の方々が名を連ね、潤沢な資金を元にさまざまなことに取り組まれていました。名前にちなみライオンの顔をつけ、募金すると吠える仕掛けにするなどオーダーメイド生産ですから、夢のような資金を投入して完成したライオン像だったと思いますが、設置までの歴史を改めて振り返ると、クラブ結成初期から変わらぬ活動への熱意が伝わってきます。ライオン像は我がクラブの宝物です。

公募によってこのライオン像に「みらいおん」の名前がついたのは、2020年のことだった。

前年度、ライオン像は日本の大都市である東京、その中でもとりわけ活況を呈する新宿の駅前に設置しているので、もっと活用価値があるのではないかという意見が持ち上がりました。実はこのライオン像の募金箱を設置しているクラブというのは、私が知る限り国内に2つ、当クラブと『四日市ライオンズクラブ』(三重県)しかなく、非常に貴重な存在でもあるのです。募金を元にさまざまな奉仕活動を行うことができるので、ただ置いているだけではもったいない、もう一歩踏み込んだ活用方法がないかと話し合いました。そこで、意外と皆さんに知られていない募金箱の存在をまず広く知ってもらえたらと考えて行ったのが名前の公募でした。クラブのメンバーで黄色いTシャツを作り、のぼり旗を掲げて街頭で募金活動を行うとともに、ホームページでも積極的に告知をしたところ、SNSなどでの拡散もあり、ライオン像を知ってもらえるようになったと同時に、募金額も驚くほど増えました。それまで募金の回収は4ヶ月に一度でしたが、以降毎月集計し金額や使途を公開するようになりました。

名前は473件集まった応募の中から、「未来を志向する」という意味が込められた「みらいおん」に決定した。

名前をつけ、活発な広報活動をしたことで今まで以上の浄財が集まり、募金活動活性化の大きな一歩を踏み出すことができたと思います。今期は、前年度の活動を展開する形で「みらいおん」をモチーフにしたキャラクターデザインとロゴの公募を呼び掛けています。広報誌やホームページ、印刷物に載せたり、グッズを作ったりすることで、より一層みなさんに知ってもらえるきっかけづくりができたらと思っています。

写真提供:東京新宿ライオンズクラブ写真提供:東京新宿ライオンズクラブ
東京で192クラブ、全国には約2,900ものクラブがありますが、当クラブは新宿という人通りの多い土地をベースに活動しているので、少しずつでも皆さまのご協力がいただけたらと思っています。当クラブの奉仕活動には青少年育成事業が多くあります。中でも「少年少女レスリング大会」はメインアクティビティとして、なかなか他にはない、資金的にも大規模な活動となっています。基本的にはそれぞれがクラブ単独事業として、クラブの会費、募金で事業を行っていますので、そうした事業を支える「みらいおん」の募金箱の存在は非常に大きいと考えています。

奉仕活動は一人で行うよりも、たくさんの人が集まって行う方がより大きな力になるという考え方がクラブの根底にあります。新宿という街が持つ力を活かし、駅前と「歌舞伎町シネシティ広場」にある2つのライオン像を通して街の浄財を集め、それを地域の未来のためにこれからも活用していけたらと思います。
当初は銀色だったライオン像、結成50周年に金色にリニューアル。 「みらいおん」キャラクター&ロゴデザインコンペは4月12日まで募集する当初は銀色だったライオン像、結成50周年に金色にリニューアル。

 関連リンク 

「東京新宿ライオンズクラブ」
https://shinjuku-lionsclub.org/

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