西新宿エリアの新たな交流拠点
新宿中央公園に立つ「SHUKNOVA」

2021.07.09

新宿の西口エリア、緑広がる新宿中央公園内に「SHUKNOVA(シュクノバ)」が誕生したのは2020年7月のこと。レストラン、カフェ、アウトドアフィットネスクラブから成る2階建ての交流拠点施設。モダンな建築デザインや、かつて新宿が宿場町であったことを彷彿とさせる施設名も印象的である。

「SHUKNOVA」の施設名称には「SHUK」=宿:異なる文化が集まり、人々が留まるところ、「NOVA」=ノバ:ラテン語で新しい意、の思いが込められている「SHUKNOVA」の施設名称には「SHUK」=宿:異なる文化が集まり、人々が留まるところ、
「NOVA」=ノバ:ラテン語で新しい意、の思いが込められている

同施設は、新宿区が2018(平成30)年に策定・公表した「新宿中央公園芝生広場における交流拠点施設整備事業提案 公募設置等指針」に、株式会社新都市ライフホールディングスがプレゼンテーションを行い、選定・認定を受け実現した。開発の経緯、公園の持つ魅力や可能性について、開発計画部 長谷聡志さん、第三エリア経営部 揚張史香さんにお話を伺った。

編集部:
公募に参加されたきっかけはどのようなことからでしたか。

長谷さん:
当社はURの関連企業で、これまでニュータウン、団地などURが開発・再開発したエリアに商業施設を建てる業務などを担ってきました。関東圏を基本に、全国80施設を手掛けています。ここ数年は一民間企業として新たなフィールド、例えば公園や道路、河川といった公共的な場所でも商業施設展開ができるのではないかと開発を検討してきました。特に都市公園は2017(平成29)年の都市公園法改正で新設された「Park-PFI」(公園の利便向上を目的に、整備を行う民間事業者を公募・選定する公園設置管理制度)が活用できるようになったこともあり、注力していました。

編集部:
新宿中央公園を選ばれた理由は何だったのでしょうか?

長谷さん:
当社は公園がある同じ西新宿に本社があり、西新宿のエリアマネジメント組織(「新宿副都心エリア環境改善委員会」)にも参加して、この界隈を盛り上げていくためにはどうしたら良いか共に課題解決や目指すまちづくりの方向性などの話し合いを重ねてきたことが一つあります。新宿中央公園は周辺道路から園内を見通すことが難しく、夜間など近寄りがたい雰囲気となっていた時期もあり、明るく安心な公園に向けた再整備が求められていました。同組織から新宿区に対しても改善を提言し続けてきた経緯もあって、我々としても注目してきた場所でした。

編集部:
「宿場町」がテーマと伺いました。どのような発想で施設を開発されたのでしょうか。

長谷さん:
新宿の起こりが「内藤新宿」という宿場町であった点に注目しました。もともと宿場町は街道を行き交う多くの人が立ち寄る場所で、そこを拠点にさまざまな交流が生まれたのではないかと考えたのです。そのようなイメージを持つ施設をと考え、全体のメインコンセプトを「SHUKUBA RE BORN」としました。公園資源を活かしながら、現代版の宿場町として、来街者がくつろぎ交流できるような「宿場町の縁側空間」を目指しました。
人が集まれるような飲食店をマストと考え、併せてアウトドアフィットネスクラブを取り入れました。2階に展開する「PARKERS TOKYO」は、ヨガやボルダリングなどのインドアプログラムだけでなく、外部環境を活用したパークヨガやノルディックウォーキングなどのプログラムを取り揃えた、公園空間とマッチしたクラブです。

長谷さん:
建物自体のデザインも議論を重ねた部分です。「森のEN-GAWA」をデザインコンセプトに、自然素材・自然由来の建材を多く取り入れ、公園景観に溶け込むように作りました。エントランス部分のレンガウォールには、ご縁のあった「高山煉瓦建築デザイン」が一からデザインした、熟練のレンガ職人によるオリジナルのレンガを積み上げています。1階、2階両フロアには、SHUKNOVAの前面に広がる芝生広場の開放感を感じられるような、公園に立ち寄る誰もが自由に使えるテラス席も設けました。

編集部:
公園という場所柄、ターゲットも多様になりますね。

長谷さん:
西新宿はオフィスワーカー約20万人というデータもある街ですので、まずそうした近隣で働く人をターゲットに捉えました。併せて、新宿中央公園から西側、中野寄りのエリアで進むマンション開発に伴って増えている地域住民、界隈に多数あるホテルに宿泊するインバウンドの方々が立ち寄ってくださるような施設になったら、と考えました。

編集部:
実際に開業されて、いかがでしたか?

揚張さん:
当社が保有している施設のほとんどは、住宅至近の立地であることから、ある程度商圏が読め、ターゲットに向けたテナントゾーニングがしやすかったのですが、今回は環境が全く違い、客層や客数などはかなり未知な部分でした。
一番驚いたのは、想像以上に自転車でいらっしゃる方、子ども連れのファミリーが多かったことです。特に天気の良い土日などは多くのお客さまで賑わい、SHUKNOVAや公園が非常に良い雰囲気になります。コロナ禍だからこそ、屋外で気軽に食事をしたり、芝生で遊んだりできるオープンエアな空間を喜んでくださる声が多く、とても嬉しく思います。状況が落ち着いて海外からの観光客も訪れるようになれば、さらに盛り上がるのではないかと感じています。
また、コロナ禍での開業だったため、まだ実現できていないイベントもあります。これまで、ほかの施設で展開してきたイベントは、テナントさんの売上に貢献することに重きを置いた企画が中心でした。しかし、当施設ではこれまでと異なる視点でのイベント企画が可能であると考えています。開催可能な時期になれば、公園の魅力を最大限に引き出したイベントを行う予定です。

編集部:
公園活用、そして新宿の地での展開は、全国に向けても大きな発信力となりそうですね。

揚張さん:
当社が保有する施設の多くは地域密着型のため、地域外、さらには全国からの認知度はあまり高くなかったように思います。しかし、「SHUKNOVA」はわざわざ遠方から目指して来てくださる方もいらっしゃいますし、ほかの企業や自治体から注目してもらう機会もかなり増えたので、私たち社員にとっても自信になるような、今後の事業に向けた良い取り組みになったと思います。

長谷さん:
「Park-PFI」の活用事例数はまだそれほど多くありませんが、中でも「SHUKNOVA」は全国的にも非常に注目されている事例だと思います。新宿は誰もが知っている街なので、「私たちが手掛けている施設はこれ」「おしゃれな施設ができた」と社員自身も自慢の施設です(笑)。
新宿中央公園は、新宿区が策定したまちづくりガイドラインで、「みどりと文化の交流拠点」と位置付けられています。公園がエリア全体の魅力や賑わいを高めていけるような、新宿駅と共に西新宿エリアの「核」となっていけたらと思います。

Photo ©2020 Nacása & Partners Inc.

関連URL
SHUKNOVA
https://shuknova.com

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