住まい機能を持つ新たなオフィスの形「12 SHINJUKU」
入居する「デジタルハリウッドSTUDIO新宿」インタビュー
未来に向けた新しい働き方提案

2019.06.28

新宿駅に直結したミライナタワー(NEWoMan)に隣接する、一見どこにでもあるような昔ながらな外観のビル。築40年近くになるこの旧耐震のオフィスビルが、「12 SHINJUKU(ジュウニ シンジュク)」として生まれ変わったのは2018年夏のことだった。

これまでに「TABLOID」(港区海岸・印刷工場をオフィス商業複合施設にコンバージョン)や「BUKATSUDO」(みなとみらい・大人の部活が生まれる街のシェアスペース)など、既存の建物の改修、再生を手掛けてきたリビタ(目黒区)がプロデュースするシェアオフィスで、「暮らしを自由にするオフィス」をコンセプトに、働く場にキッチンやLDK、ベッドルームなど、住まい機能の一部を持たせることで、新たな働き方や暮らし方を提案する。

この新しい形のスペースに新宿三丁目から移転入居した「デジタルハリウッドSTUDIO新宿」もまた、未来を見据えた新しい働き方を提案するスクールである。「デジタルハリウッド」は1994年、時代に先駆けたデジタルコンテンツ制作専門スクールとして、各企業や団体の賛同、協力のもと設立された。その後4年制大学やエンジニア養成スクールなども開校し、これまで約9万人以上の卒業生を送り出している。

映像教材を見ながら自分の好きなペースで学習ができる新たなスタイルとして、2012年に立ち上げたのが「デジタルハリウッドSTUDIO」で、第一号となる新宿校を皮切りに、現在全国21拠点まで拡大してきた。

チーフを務める石野朋さんは「もともと都内で人の往来が多く、通いやすいというエリアを探す中で、新宿に立ち上げた。ワンフロアでコンパクトだった以前のスペースが手狭になってきたこともあるが、『12 SHINJUKU』はより駅近で通いやすい上、学習スペースとして使っている11階のスペース以外に、共有スペースやレンタルスペースなどが利用できる。講師とマンツーマンで行う授業や、少人数でのアイディア出し、打ち合わせから大人数でのセミナー、説明会まで対応できるのはこうしたシェアスペースならでは。ルーフトップでランチをしながらリフレッシュすることもでき、受講生にも好評」と話す。

STUDIO内はアウトドアをコンセプトに、芝生を敷いたり緑を多く取り入れたりしている。「学習する内容がクリエイティブに特化しているので、よくあるオフィス的なものよりも、秘密基地のようなワクワク感など、できるだけ発想が生まれるような内装になればと考えている。上層階で光もしっかり入るので、都会の中で自然が感じられるようにイメージしている」と石野さん。

Webデザイナー専攻」「ネット動画クリエイター専攻」の大きく2つの分野を教える同STUDIOに通う受講生は、キャリアアップや転職を考える2030代前半が中心。仕事に直結するような実践的な学びを求めて通っているその約89割が未経験者だという。「5060代の方で学び直したいと通われる方もいらっしゃる。初心者でも学習が始められる点は当校の特色でもあり、STUDIOはそれぞれの働き方やライフスタイルに合わせて、より自由に個別学習できるという点にフォーカスしている。新宿はハブ的要素が強く、いろいろなところから人が集まりやすく、埼玉や千葉などから通っている方もいる」と石野さん。

移転を機に、御茶ノ水に拠点のあった「xWORKS(エックスワークス)」(在校生や卒業生と企業をつなぐマッチングサービス。求人や案件広告を掲載できるサイトなども運営し、就業支援、リクルーティングなどを行う)と同STUDIOを共同運営する。「xWORKS」に登録しているメンバーは、月曜日にSTUDIOを自由に使うこともでき、フリーランス同士のつながりや、仕事のつながりも生まれるという。
広報室主任の川村めぐみさんは「フリーランスやパラレルワークなどそれぞれのライフスタイルに合った働き方を目指す受講生にも当スペースはメリットの大きい環境。実際に仕事している空間を企業の方に見学してもらったり、気軽に仕事の依頼をしたりすることもできる」と話す。
リビタ主催による、入居者同士の交流会なども行われる。石野さんは「当STUDIOのような学校のほかに、動画やWeb関係の方々など、多種多様な人がビルをシェアし行き来しているので、交流を深める中で情報交換ができるほか、一緒に仕事するような機会が持てるのも魅力」と話す。

デジタルメディアが活発化する中、今後ますますデジタルコンテンツを扱うことのできる人材の需要は増えると見込まれている。川村さんは「新宿の西側はオフィスビルが多く建ち並ぶが、生活の場と遠く、モノづくりや企画を考える中でリアルから少し離れてしまうこともあると聞いた。今後、新宿にさまざまな店舗ができていく中で、当STUDIOも含め、街にさまざまな人が集まって、ビジネスシーンに生活者の目線が混ざったら、また新たなものが生まれるのでは」と期待をみせる。

石野さんも、「実は近年、特に『主婦ママクラス』の人気が高まっている。出産育児を機に、子育てしながら将来的にどういった働き方を選択したらよいか考えている方が増えている。在宅ワークを模索する中で、一つの選択肢として『Webデザイナー』という職種を見つけ、好きな時間に通える当STUDIOを受講される方も多くいらっしゃる。フリーランスや在宅ワーク可能といった企業側の求人も増えつつあり、未来に向けてみなさんがより自分らしく働けるよう、学びの場だけではなく『新たな働き方』を提供していくことができたら」と話す。

実は新宿に住んでいるという川村さんも「新宿、そしてこのSTUDIOが新しい暮らし方、生き方に出会える場所になれれば。新宿に住んでいると話すと驚かれることもあるけれど、賑やかな中心部から少し離れると、緑が豊かで、公園や保育園、大学なども多くあり、とても穏やか。区の施設も充実しているし、家族で食事をしたり買い物をしたり、とても住みやすい街だと感じる。そんな新宿の持つさまざまなイメージや魅力ももっと伝われば」と話した。

さまざまな顔を見せる新宿の姿を、これからもこのサイトでたっぷりと伝えていきたい。

 関連リンク  
「デジタルハリウッドの専門スクール(学校)」 https://school.dhw.co.jp
「デジタルハリウッド株式会社」 https://www.dhw.co.jp/

Editorial department / 本文中の本アイコンは、
歌舞伎町文化新聞編集部の略称アイコンです。

PAGE TOP
GO HOME