「日本」にこだわり、日本の良さを新宿から発信
 「BEAMS JAPAN」の取り組み

2019.09.18

新宿東口エリアに建つ「BEAMS JAPAN」は国内外のさまざまなファッションを紹介するセレクトショップとして人気が高い「BEAMS」が2016年4月に開業した店舗だ。「日本」をキーワードに、全国から日本の魅力を集め発信する拠点となっている。

地上5階、地下1階までの各フロアには、「祭」「衣」「眼」「趣」「匠」「食」と漢字一文字がテーマとして掲げられ、日本の伝統を感じさせる銘品や地方の特産品、ファッション、さまざまなブランドや老舗メーカーなどとのコラボアイテム、別注品、ポップカルチャーをフューチャーしたアーティスト作品のほか、民芸や手仕事に触れられるフロアを展開する。館内に猿田彦珈琲、老舗「日光金谷ホテル」協力によるレストランも併設する。

ビームスなりの視点で地方の魅力を新宿から発信する、その取り組みについてプロジェクトリーダーの佐野明政さんに伺った。

「日本」にこだわったのは、どんなきっかけからだったのでしょうか?

創業から、とりわけ海外の「いいもの」を探し発信してきましたが、設楽(代表取締役 設楽洋さん)が海外で「いい生地を見たら、実は日本のものだった」といった経験を数多くする中で、創業40周年のタイミングもあり、「日本にあるたくさんのいいものをきちんと伝えていきたい。モノや文化など日本にこだわったセレクトショップをやろう」と考えました。その思いの下、僕をはじめさまざま人と共に「ビームスが考える日本とはどういう日本だろう」とディスカッションを重ねながら一からフロア構成を考え作っていきました。

知られざる地方の魅力はどのように発掘していらっしゃるのでしょうか。

一階に並ぶ「日本の銘品」などは担当バイヤーが日々日本全国を飛び回り、その土地土地でいろいろとご紹介いただいたり、ご縁が生まれた方々から繋がっていったりする中から、独特の感性で選んだものを紹介しています。個人的にも「これも日本製なんだ」と常に新たな発見があります。伝統的なものにとどまらず、4階にはオタク的要素や作家性の強いものを集めるなど、幅広く見られるところも、魅力になっています。

発信地として「新宿」を選ばれた理由は何でしょうか?

設楽もよく言っていますが、新宿はまさに「人種のるつぼ」。新宿でこそ勝負してみたい、あらゆる方が行き交うこの街で通用すれば、という思いがありました。おかげさまで欧米、アジアからの観光客のほかフランスのキュレーターが隔月ごとにリサーチのために立ち寄ってくださるなど、インバウンドのお客さまも増えています。紋切り型でなく、今の日本人がリアルにおもしろいと思う各地の文化や歴史に触れることができるのも大きいのではないでしょうか。20代〜40代の方が比較的多いほかの店舗と比較しても、日本人の若い世代の方が多く来てくださっているように感じます。

異業種の企業や地方自治体と協働したモノづくり、地域の魅力や文化などを紹介するイベントなどを数多く実施している点も一つの大きな特色となっている。例えば2016年11月に大分県別府市とコラボした「BEAMS EYE on BEPPU」では、店内に設えたヒノキの浴槽に現地から運んできた源泉100%かけ流しの温泉をはった「足湯」が登場し、その意外性もあって行列するほどの人気を博した。

「BEAMS」は日本全国にお店があって、土地に根付き、常日頃お客さまと接点を持ったスタッフが多くいることが強みでもあります。東京にいる僕らがいきなり行って、街を盛り上げたいといっても難しいですが、逆に一歩引いた視点で物事を見ることで気づくこともあります。地域の声、人と人との繋がりを生かし、地元のスタッフと一緒に動きながら作り上げていくものも多いです。

若い人にも興味を持ってもらえたらと大分県の三和酒類株式会社とコラボした「いいちこ×BEAMS JAPAN」。「下町のナポレオン」と親しまれている麦焼酎「いいちこ」を「新宿のナポレオン」に変え、田舎の町並みの代わりに、新宿の夕焼けをイラストレーター・永井博さんが描いた。

まだまだ「BEAMS JAPAN」のことを知っていただいていない地方、企業もあります。徐々に認知度が上がり「こんな良い取り組みをしているんですね」とお声がけ戴く機会も増えましたし、マーケットが大きい東京から発信して欲しいという地方からの期待も感じています。
「ぜひ一度新宿に来て、店舗を見て欲しい」というところから始め、その上で現状の課題点や実現したいことなどをしっかりとキャッチボールする、そこは最も大事にしているところです。

滋賀県の信楽焼のたぬきや大阪の「牛乳石鹼」など、ブランドカラーのオレンジ色にした特別版も印象的でした。

「信楽焼の茶色いたぬきは昔よく売れていて、蕎麦屋の店先などどこにでも置いてあったと思うんです。それをBEAMSらしいポップな感じに仕上げようとオレンジ色にした別注品は、製作の段階では僕らも半信半疑でしたが、皆さん「かわいい」と大好評で大きいサイズから小さいものまでロングセラー商品となりました。

ボディソープなどが身近な若い世代に向けて、今一度固形石鹸の良さを伝えたいという「牛乳石鹼」さんとのコラボで作った「橙箱」も、元々の「赤箱」「青箱」があるからこそ、互いを引き立て合うことに繋がり大好評を博しました。

愛知県の瀬戸市で作る招き猫も扱っているのですが、当店で見たことがきっかけで「働きたいと後継者が来た」とお聞きし驚いたこともあります。日本の良いものにスポットを当てることで、こうした接点が増えることは、お取引先さまにも喜んでいただけますし、地場産業を盛り上げるきっかけにもつながればと思っています。

2017年8月に開催した「暮らしにいきる伝統のかほり展」は富山県高岡市の職人が手がける工芸品にスポットを当てた。銅器、漆器、螺鈿などの伝統工芸品の販売のほか、職人の技術を体感できる実演なども。ファッションを扱う同店と伝統産業のギャップは、通り掛かりの多くの人の目を引いた。

ビームスらしい視点、ビームスならではのモノづくりというのはどのようなところでしょうか?

本当に「いい」と思ってリスペクトしているモノに対してコラボしていくことを大切にしています。例えば神戸の「ゴーフル」を手がける風月堂とお仕事させていただい際、味や缶のデザインなどすでに完成されている部分を変えたいという発想はビームスにはなかったんですね。この時はゴーフル缶がぴったりと収まるバッグを、しかも神戸の登山専門用具店と共に作ろうということになり、風月堂の方々も喜んでくださいました。

文化や伝統といった「コト」の紹介もしてはいますが、やはり「BEMAS」として「モノ」を期待されているところはあると思います。その地域のことを知らなかった人たちが、新たにコラボして作ったモノに興味を持つことで会話が始まったり広がったりしながら、モノとコトが行ったり来たりしているというか、いい意味で補いあっていると感じます。モノ作りについてはバランス感や色の感じなど「こういう風にアレンジするんだ、ビームスっぽいね」といっていただくことも多いです。

福島県と共同で取り組む「モノ・コト・ヒト」の魅力を届けるプロジェクト「ふくしまものまっぷ」。実際に現地を訪れ、復興の現状への理解や県民との交流を深めた経験から、毎月同県の名産品をピックアップして販売するほか、コラボレーションアイテムの開発、販売などを行う。

ビームスらしくありながら、モノ、ヒト、コトをつなげられているのですね。

ポップだったりクスッと笑ってしまったりするような面白さ、それがビームスらしさかなとも僕は思います。ちょっと視点を変え、リスペクトしながらも面白さを交えることで、多くの人にわかりやすく届いたらと思います。社長の設楽は「匠からオタクまで日本にはいいものがある。それを表現したい」「世界の中で、経済ではなかなか一番にはなれないかもしれないけれど、器用さ、繊細さ、おもてなしの心といった日本が持っているものを掛け合わせ、文化の部分で日本を一番にしたい」と話します。この「振り幅」の面白さこそが日本らしさ、日本の多様性だとも言えると思いますし、何かを掛け合わせることも日本人はすごく上手ですよね。
今後も人と人が繋がりながら、魅力あるモノ、コトを新宿から発信していけたらと思います。

「BEAMS JAPAN」
東京都新宿区新宿3-32-6 B1F-5F 
TEL 03-5368-7300
営業時間 1F〜5F=11:00〜20:00、猿田彦珈琲=11:00〜20:00、
クラフトグリル=昼 11:30〜15:00、夜 17:00〜23:00(土日祝は 11:30〜23:00)

 関連リンク 
「BEAMS JAPAN」
https://www.beams.co.jp/feature/bjfloor_guide/

Editorial department / 本文中の本アイコンは、
歌舞伎町文化新聞編集部の略称アイコンです。

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