新デザインに刻まれた新宿エリアのシンボル・歴史
17年ぶりにリニューアルした
JR新宿駅「駅のスタンプ」

2020.08.04

JR新宿駅に設置されている「駅のスタンプ」が78日、新たなデザインに生まれ変わった。JR東日本東京支社が、新宿駅を含むエリア内全78駅のスタンプを17年ぶりに一斉リニューアルしたもの。

「駅のスタンプ」は来場記念として旧国鉄時代から作られ、同社発足後も引き続き展開していた。これまで使われていたスタンプは、2003(平成15)年10月、江戸開府400年記念に合わせて企画されたデザイン。同社スタッフは「小粋で情緒あふれる江戸をテーマに、江戸時代にまつわる場所などをスタンプの絵柄に用いた」と振り返る。

新宿駅のスタンプには1885(明治18)年3月に開業した初代新宿駅である「新宿停車場」の風景が描かれていた。(もともと駅名は江戸時代に誕生した宿場町に由来する「内藤新宿」だったが、2年後「新宿」に変えられた)

当時の駅といえば、周囲を田畑や竹やぶに囲まれた小さな木造建ての建物で、多くが貨物の輸送に用いられ、乗降客は1日50人ほどであったという。

「新宿停車場」が描かれた旧「駅のスタンプ」「新宿停車場」が描かれた旧「駅のスタンプ」

新しいスタンプは日本古来の家紋に着想を得て、駅名の漢字一文字を、駅やその地域の歴史、特徴などを表現したシンボルと組み合わせてデザインされている。「駅の社員に調査したシンボルの希望などのアイディアも合わせ、漢字との融合性を考えながらデザイナーがデザインを行った」とスタッフ。スタンプデザインのベースとなるフレームは六角形・丸・八角形・四つ丸輪の4種類あり、色は赤・朱・緑・青・紫の5色。海外から来る人にも楽しめるよう駅名の英語表記も入れられている。

新宿駅の新スタンプは丸フレームで、色は青。西口に建つ高層ビルで表現した「新」の文字には、江戸時代の新宿が発祥の地で現在、伝統の江戸東京野菜に認定されている新宿の名産品「内藤とうがらし」も組み合わされている。8代将軍徳川吉宗が奨励した野菜作りの下、ひと頃は収穫時期になると新宿から大久保にかけて辺り一面が真っ赤に見えるほど栽培されていたという。明治時代に一度消滅したが2010年に復活、再び育てられるようになった。

新しい絵柄になったJR新宿駅の「駅のスタンプ」新しい絵柄になったJR新宿駅の「駅のスタンプ」

新宿区内にある駅ではほかに、新大久保駅のスタンプに、古くから多くある管楽器店をイメージした楽器をあしらった「新」の字が、大久保駅のスタンプに江戸時代、幕府の警護を担い百人町の街の名の由来ともなった鉄砲組百人隊をイメージした「保」の字が、高田馬場駅のものには「流鏑馬(やぶさめ:馬で走りながら的に矢を射る)」をイメージした「馬」の字が、それぞれデザインされている。

新宿のスタンプは、JR新宿駅東口と南口改札近くにある「みどりの窓口」の2カ所で押すことができる。

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