「ゴジラ」のいるホテルとして話題に
「ホテルグレイスリー新宿」を手掛ける
「藤田観光株式会社」インタビュー <後編>

2021.04.27

「ホテルグレイスリー新宿」を運営する藤田観光株式会社 同ホテル総支配人の阪根徳彦さんと、企画課担当マネージャーの本田裕美さんに伺ったインタビューの後編。前編では歌舞伎町エリアに大型ホテルを出店する経緯について伺いました。

TM & © TOHO CO., LTD.

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編集部:ゴジラをテーマにしたコンセプトルームはどのようにして生まれたのでしょうか。

阪根さん:「ワシントンホテル」では「ひろしまルーム(広島)」や「鉄道ルーム(秋葉原)」、「グレイスリーホテル」では「歌舞伎ルーム(京都三条)」といったコンセプトルームを展開するほか、朝食に地元の有名な食材を入れるなどホテルとしてそれぞれの地方の良さを少しでも取り入れたいという思いがあります。バブル時代の少し後までは、ホテルには一部屋スイートルームを設けなければいけないという傾向がありましたが、むしろコンセプトルームの方が話題作りにもなりますし、稼働率も高いのではないかと思います。ゴジラとのコラボについては、初めは館内にオブジェのような小さなものを置くくらいのアイディアだったようですが、ちょうど2014年にハリウッド版の「GODZILLA」の公開もあり、アメリカでそのすごい人気を目にされた東宝の方が「やるならすごいことをやりなさい」とおっしゃった、という話を先輩方から聞いています。ゴジラとのコラボ実現には東宝の方々、地元の方々にも本当に多大な協力をいただきました。今でも皆さん「このビルが建ったことで歌舞伎町の雰囲気が変わりました」と言ってくださいます。

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本田さん:昨年5周年を迎えた際にも、ゴジラがコロナ禍を吹きとばすような意味を込めた企画を予定していました。開業からゴジラがシンボルとして、一緒に時代を歩んでくれているように感じます(笑)
昨今、宿泊という一連の流れの中に一つの経験や体験を織り交ぜたいという消費者が少しずつ増えてきたように思います。SNSなどの利用で自分の経験を開示することが便利になり、それをアピールしたいという思いから体験などを重視するような価値観が生まれているのではないかなと思います。それが理由で「ゴジラルーム」の予約も続いているように感じます。「ゴジラルーム」は巧妙な作りというか、細部まで追求して作り込んでいるので楽しんでいただけるのではないかと思います。

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編集部:シネコンや店舗からなる繁華街の複合施設にホテルを出店し、反響はいかがでしたか?

本田さん:こうしたホテルと映画のキャラクターがコラボするということ自体が斬新でしたし、開業当時から世間の注目の高さは肌で感じていました。インバウンドも右肩上がりで増え始めた頃でしたし、その頃にはオリンピックの開催も決まっていたので、当初からインバウンドに向けた受け入れ態勢が整っているホテルというようなイメージづくりはできたのではないかと思っています。

阪根さん:当初6割程度を見込んでいたインバウンドは、昨年は全体の約9割に上りました。中国、台湾、韓国、香港などアジアのお客さまが多いですが、一般的なデータによればそうした方々の6割以上がリピーターと言われています。最初は東京観光だけの方も、2度目、3度目の来日時には地方の温泉や、自然などを体験してみたいと、日本のいろいろな場所へいかれます。そんな中でもまずは新宿に一度来て、そこを拠点に国内を移動するという方が多いという実感があります。箱根にも施設を手掛けていますが、新宿に1週間滞在している人がそのうちの2日、箱根に行って温泉を体験して戻ってくるといったように、ハブ都市のような機能が新宿にはあるように思います。

編集部:地域のイベントやお祭りなどにも参加されていますが、街との交流はいかがでしょうか。

阪根さん:宴会場のあるホテルは地元の方々にも使っていただける機会がありますが、宿泊を中心にしたホテルは外から来るお客様の応対がメインで、あまり地元の方と密接になる機会が少ないということがあります。赴任してみて、当ホテルは開業前から今に至るまで地元の方と密接に歩んできたように感じました。「ワシントンホテル」との違いの一つとして、「ホテルグレイスリー」にはコンシェルジュを置いています。特に海外のお客さまはコンシェルジュを利用することに慣れていらっしゃいますので、さまざまな情報を取り入れる中で地域のイベントもそうですし、お客さまに楽しんでいただく企画の一環として街とも関わっていけたらと思います。

熊野神社の例大祭の様子

熊野神社の例大祭の様子

本田さん:開業の際、商店街界隈で元来お店を構えていらっしゃる方々も温かく受け入れてくださるような雰囲気を強く感じました。地域のイベント、例えば「歌舞伎町シネシティ広場」で行われた盆踊りイベントや、熊野神社の例大祭でお神輿を担ぐなど、希望される宿泊者の方がいらっしゃれば一緒に参加することもあります。テラスなど空きスペースを利用して、来街者など宿泊者されていない方をお呼びして縁日やスイカ割り、ラジオ体操といったイベントも企画し行ってきました。そうした体験はお客さまも大変喜んでくださいます。新宿はいろいろな顔があって、きっとみなさん「新宿」という言葉からもさまざまな「絵」を想像されると思います。そうした絵の中の一つに、ゴジラのいるホテルとして思い起こしていただけるように注力して、これからも街と関わり合いながら、企画を立てていきたいと思っています。

「ラジオ体操」イベントの開催風景

「ラジオ体操」イベントの開催風景

編集部:未来に向けての思いをお聞かせください。

阪根さん:地方などでは新しく建つホテルは競合であり脅威です。しかし新宿はいらっしゃるお客さまの数が非常に多いので、それぞれに特徴的なホテルができると、相乗効果が生まれて来るお客さまももっと増えるのではないかと感じています。それは新宿の強さだと思います。
海外の方に「コロナ禍が終息したらどこに行きたいか」と聞いたアンケートでは日本が一番多かったそうですが、やはり清潔で安全な国というイメージが大きいのだと思います。新宿区や歌舞伎町が推進している街づくり「歌舞伎町ルネッサンス」にも掲げられていますが、クリーンな都市であること、そして街が持つエンターテインメント性をどれだけ進化させていけるのかということが歌舞伎町、新宿に今後求められることではないのかなと思います。このサイトで別の方もお話されていましたが、私もまさに歌舞伎町がニューヨークにある「タイムズスクエア」のようになれたらと思っています。そういう街にあるホテルとして、足を運ばれる方に一層利用していただきやすいようなホテルにしていけたらと思っています。

本田さん:世界がコロナ禍という厳しい状況にありますが、これまでも人々は大変な時代を乗り越えてきましたし、わたしたちはどんな困難にも屈しない底力を持っていると思っています。いずれリニア中央新幹線が走れば、1時間ほどで大阪に行けるようになります。そうすると今まで考えていなかったようなエリアの方々が来られたり日帰りでホテルを楽しんだり、何かこれまでとは違う新たな楽しみも提供できるのではないかと思います。そんな未来がすぐやってくるのだと想像すると、とてもワクワクしますし、この先10年は新宿、日本がもっと魅力的な場所となるのではないかと期待しています。

*インタビューは2020年12月に行ったものです。

 関連リンク 

「ホテルグレイスリー新宿」
東京都新宿区歌舞伎町1-19-1
https://gracery.com/shinjuku/
*営業状況など最新情報はホテル、またはHPなどでご確認ください。

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